Last Updated on 2020-03-08 by ねおまさ
ある日突然、早期退職募集が始まった。辻本壮平52歳、菓子メーカー課長。これは体のいいリストラなのか。それとも第二の人生をスタートするチャンスなのか。上乗せされる退職金、憧れだった田舎暮らしの可能性。辞めるか残るか悶々と悩む中、周りでは早々に早期退職を決断する者あり、会社にしがみつく者あり。そんな中会社を未曾有の危機が襲い。会社で働く者の苦悩と誇りを描き出す、エンタメ小説。
1冊読了しましたので、書評したいと思います!(ネタバレなし)
登場人物
- 辻本壮平
この作品の主人公で中堅菓子メーカーに勤める52歳。4人家族の一家の大黒柱。 - 折原専務
壮平が社内で最も信頼し、尊敬している人物。 - 澤邦夫
壮平の同期。会社のヒット商品「ちょこっとチョコ」を一緒に開発した仲間。 - 倉橋玲奈
26歳で壮平と同じ二課に所属し、営業をしている。毎日の日誌は提出しない、会議資料は前日になっても作成していない、課ではお荷物的存在。この記事内には出てきませんが、この娘の存在は壮平にとって大きな存在なので、紹介しておきます。
あらすじ
- 大学を卒業してから中堅菓子メーカーエンゼルに勤務する中間管理職である彼は、まさにサラリーマン家庭の王道。
- 一般的だからこそ、この物語にはリアルがあり、主人公と読み手に性別や年齢に差があったとしても、早期退職を勧奨されたときに感じる生々しさや、決断までの葛藤がすごく共感できる作品だと思います。
- 中堅菓子メーカーの二課の課長をしている辻本は、エンゼル一筋で働く中間管理職。帰りはスーパーに立ち寄り自社の商品がどの位置に陳列されているかのリサーチを欠かさない真面目な性格。
- 若かりし頃、ヒット商品である「ちょこっとチョコ」を世に生み出した自分は会社にとって必要な人材だと思っていた最中で、突然の退職勧奨。しかもその相手は信頼する折原専務。ここから本格的に物語が始まる・・・
- 壮平の迷い
ここが非常にリアル。募集対象が50代という情報から、誰に相談すべきか、課長というポストから部下に聞きにくいし、家族(妻)にも相談できない・・・解消することのないモヤモヤを抱え一人居酒屋で泥酔状態になっている姿は簡単に想像できました。なんせ私も近所の居酒屋でそんな状態だったこともあります・・・笑(たまに、ですよ) - 社内の仲間との絆
壮平にとってのキーマンの1人は同期の澤です。なんかモヤモヤしてるときって確かに同期とエレベーターが一緒になったりして悩みを打ち明けるきっかけがあったりします。作中の壮平と澤もそうでした。真面目に悩みを打ち明ける壮平と、対照的に楽観的な澤。この2人のキャラクターのバランスが丁度よく、作品においても澤の存在は作中の雰囲気を暗くし過ぎないようにしてくれているように感じました。これを読んで、同期をランチ、もしくは飲みにでも行こうかな、なんて思いました。 - 中盤以降の壮平の決断や行動に注目
早期退職に応募するかどうかの決断、それに並行して訪れる会社の未曾有の危機。壮平が社内で起こす行動、社会人同士の本気のぶつかり合いは社会人としての熱い想いが詰まっていると思います。後半は加速度的に物語が進んでいき、面白い展開がたくさん訪れます。
特徴と感想
- サラリーマン社会の縮図が見ることができる
壮平の心情や行動、その他の登場人物も含め「非常にリアルな会社」が描かれています。これから就職を迎える学生、普段会社員が何をしているのか知りたいご家族の方にもオススメです。因みに私は壮平とは業界も職種も異なりますが、多くの場面で共感できました。 - 友達ともちょっと違う「同期」の存在を思い出す
人によっては違うと思いますが、同期って友達のようにプライベートでがっつり遊ぶっていうよりかは社内で情報交換しながら社会人として、同じ社内の悩みを打ち明けられるちょっと特別な存在だったりすると思います。友達に同じ相談するよりも共感できることは多いはずだからです。その存在のありがたさみたいなことを思い出させてくれました。
気に入ったポイント
すごくシンプルなんですが、読了してから帯の本当の意味に気づきました。
「働き方改革の今こそ読みたい」
読むと分かります!
まとめ
今回紹介したのは荒木源 著「早期退職」でした。
・今、社会人としてモヤモヤを抱えている方
・一人で悩んでいる方
・自分の未来ってどうなってしまうのかと思われている方
是非手に取ってみてください!
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